インターネットの到来は、情報通信政策にとっては一大転機となり、1990年代後半から多くの政策論議を巻き起こしてきました。しかし、わが国での情報通信政策論議が十分に広くなされているかというと必ずしもそうとはいえません。
というのは、政府、学界、民間(情報通信機器メーカー、通信事業者、ソフトウェア・ハウスなど)の三つの間で十分に情報が共有されていないために、(1) 政府はその政策的意図が十分に理解されないまま学界や民間からの批判にさらされる、(2)学界は現実の政策立案において採用されることのない政策論議を繰 り広げる、(3)民間は政策の予測がつかないまま日々の事業に取り組まざるを得ない、という問題が起きています。
学会や民間のシンポジウムやフォーラムを通じてさまざまな政策に関する意見交換が行われていますが、多くの場合、メディアへ引用されることを前提としているため、各人が組織の看板を背負った議論をせざるを得ず、個人ベースの率直な意見交換が行われていません。
そこで、若手の研究者、政策担当者、民間の有志が集まり、情報通信政策について議論するために「情報通信政策研究会議(ICPC:Information and Communications Policy Conference)」を開催することにしました。これは、毎年米国で開かれている通信政策研究会議(TPRC:Telecommunications Policy Research Conference)をモデルとしながらも、わが国の実情に合わせたものです。TPRCと異なる点は、(1)若手をターゲットとする、(2)創発的な政 策論議を重視する、(3)通信政策だけではなく情報政策も含める、という点です。学会やシンポジウムのように外に訴えかけるのが目標ではなく、むしろ、率 直な対話を通じて政策への理解を深め、政策の基盤となる理論を練り上げ、次世代の人材を育成する場にしたいと思っています。より良い情報通信政策を求める 有志のご参加をお待ちしております。